平成21年度 プロジェクトマネージャ試験 午後問題
午後II(論文)は、IPAが公式の解答例を公表していません。そこで当サイトでは、公表されている出題趣旨と採点講評を手がかりに、設問ア・イ・ウそれぞれで何を書くべきかを整理した論述の骨子例を独自に作成しました。想定シナリオ付きなので、自分の実務経験に置き換える際の型としてお使いください。午後I(記述)はIPA公式の解答例と、解答を導く着眼点を併記しています。
午後II(論文)
問1 システム開発プロジェクトにおける動機付けについて
設問ア(800字以内):あなたが携わったシステム開発プロジェクトの目標と特徴、メンバの構成について述べよ。
設問イ(800字以上1,600字以内):設問アで述べたプロジェクトの立上げ時に、メンバに対して行った動機付けの内容と方法はどのようなものであったか。メンバの力量や動機付けしたときの反応などを含めて具体的に述べよ。
設問ウ(600字以上1,200字以内):立上げ時にメンバに対して行った動機付けの内容を、プロジェクト遂行中にどのような観点で維持・強化したか。観点とその観点に基づく行動及びその結果について具体的に述べよ。
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出題趣旨:プロジェクトの目標を確実に達成するには、メンバのスキルや経験などの力量に応じた動機付けによって、一人一人が積極的に参加し高い生産性を発揮することが大切である。立上げ時に役割や目標を相互に確認して動機付け、遂行中は責任感・一体感・達成感などの観点でその内容を維持・強化するPMの実践力を問う。
採点講評:立上げ時にメンバに対して行った動機付けと、遂行中にそれを維持・強化した経験がうかがえる論述が多かった。しかし、立上げ時にメンバとの意見交換や同意がなくPMからの一方的な動機付けになっている論述や、遂行中に維持・強化した内容が立上げ時の内容と異なる論述も見られた。設問アでプロジェクトの特徴に対してシステムの特徴を記述する論述も多かった。
📝 論述の骨子例(参考・IPA非公式)
【想定シナリオ】中堅SI企業で、稼働開始日が固定された自治体向け住民サービスシステムの再構築プロジェクト。経験豊富なベテランと初参加の若手が混在する10名のチームを率いた。
設問ア:プロジェクトの目標(固定納期での確実な稼働と高い信頼性)と特徴(法改正対応で仕様が流動的)、メンバ構成(ベテラン、中堅、初参加の若手の混成10名)を述べる。
設問イ:立上げ時にプロジェクト目標を全員で共有し、面談で各メンバの役割・目標を相互に確認。ベテランには難易度の高い設計と若手指導を任せて責任感を、若手には達成可能なマイルストーンを設定して達成感を持たせた。力量に応じた動機付けと、面談での前向きな反応を述べる。
設問ウ:遂行中は一体感の観点からプロジェクト全体の情報を共有し、責任感の観点で若手の裁量範囲を段階的に拡大。進捗の停滞時には個別面談で目標を再確認して立上げ時の動機付けを維持・強化。結果として生産性が維持され、納期どおり稼働できたことを述べる。
※論文式のためIPA公式の解答例はありません。上記は出題趣旨に沿って作成した骨子の一例で、正解ではありません。必ずご自身の実務経験に置き換えて論述してください。
問2 設計工程における品質目標達成のための施策と活動について
設問ア(800字以内):あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴、システムの主要な品質目標と品質目標が与えられた背景について述べよ。
設問イ(800字以上1,600字以内):設問アで述べたプロジェクトにおいて計画した、設計工程で品質を作り込む施策と品質を確認する活動はどのようなものであったか。活動の結果として察知した問題点とともに具体的に述べよ。
設問ウ(600字以上1,200字以内):設問イで述べた問題点に対し、特定した原因と品質を作り込む施策の改善内容について、改善の成果及び残された課題とともに具体的に述べよ。
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出題趣旨:PMはプロジェクト立上げ時に与えられた品質目標を達成するため、品質を作り込む施策と品質を確認する活動を計画する。設計工程では施策が確実に実施されるよう管理するとともに、品質を確認する活動によって問題点を早期に察知し、原因を特定して品質を作り込む施策を改善していくPMの実践力を問う。
採点講評:システム開発プロジェクトの経験を踏まえた具体的な論述が多かった。しかし、設計工程以外についての論述や、システムの品質目標と品質を作り込む施策との関連がうかがえない論述、察知した問題点の対処だけに終始し品質を作り込む施策の改善に言及していない論述も見られた。設問イ・ウで開発者の視点にとどまる論述もあり、PMの視点からの論述が求められる。
📝 論述の骨子例(参考・IPA非公式)
【想定シナリオ】金融機関のオンライン取引システムの再構築で、サービス中断が多額の損失に直結するため、サービス中断時間の許容値という高い信頼性目標が与えられたプロジェクト。
設問ア:プロジェクトの特徴(24時間稼働のオンラインシステム)と、主要な品質目標(サービス中断時間の許容値、高信頼性)、及びその背景(中断が多額の損失と信用低下を招く)を述べる。
設問イ:作り込む施策として、過去の障害事例を反映した設計標準と考慮ポイントの整備を計画。確認する活動として、メンバ以外の専門家も加えた設計レビューを計画。活動の結果、一部の異常系で中断時間が許容値を超えるケースがあるという問題点を察知したことを述べる。
設問ウ:原因は設計標準に異常系の考慮ポイントの漏れがあったことと特定。設計標準を見直して考慮ポイントを追加し、設計を修正して品質目標を達成した成果を述べる。残された課題として、標準の継続的な見直しサイクルの定着を挙げる。
※論文式のためIPA公式の解答例はありません。上記は出題趣旨に沿って作成した骨子の一例で、正解ではありません。必ずご自身の実務経験に置き換えて論述してください。
問3 業務パッケージを採用した情報システム開発プロジェクトについて
設問ア(800字以内):あなたが携わった情報システム開発プロジェクトの特徴を、採用した業務パッケージとその採用目的とともに述べよ。
設問イ(800字以上1,600字以内):設問アで述べた情報システム開発プロジェクトの遂行に当たり、外付けプログラムの開発が必要となった理由、開発を必要最小限に抑えるために利用部門と合意した内容、合意に至った経緯、及び開発した外付けプログラムの概要を具体的に述べよ。
設問ウ(600字以上1,200字以内):設問イで述べた外付けプログラムの開発に当たり、業務パッケージ採用の目的を達成するためにどのような工夫をしたか。その成果、及び今後の改善点を含めて具体的に述べよ。
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出題趣旨:業務パッケージの採用では、業務プロセスの改善や開発期間の短縮などの目的を達成するため、標準機能を最大限適用し、外付けプログラムの開発を必要最小限に抑えることが重要である。PMが利用部門の合意を得た上で開発範囲を見直し、保守性を考慮した開発方法を選択するなどの工夫を行う実践力を問う。
採点講評:業務パッケージの標準機能をできるだけ適用し、外付けプログラムの開発を必要最小限に抑えた経験がうかがえる論述が多かった。しかし、設問で求めている、開発を必要最小限に抑えるために利用部門と合意した内容や合意に至った経緯については論述されず、開発した外付けプログラムとその必要性の説明に終始した論述も見られた。工夫点が論述されていないものも見られた。
📝 論述の骨子例(参考・IPA非公式)
【想定シナリオ】製造業の会計システム再構築で、業務プロセスの標準化と保守性向上を目的に会計パッケージを採用。一部の帳票要件が標準機能で満たせず、外付けプログラムの開発が必要となったプロジェクト。
設問ア:プロジェクトの特徴(多拠点の会計業務の統合)と、採用した会計パッケージ、及び採用目的(業務プロセスの標準化、開発期間短縮、保守性向上)を述べる。
設問イ:法定帳票と経営管理帳票が標準機能で満たせず外付け開発が必要となった理由を述べる。開発を最小限に抑えるため、利用部門と優先順位や運用回避の可否を協議し、標準機能への業務側の合わせ込みを合意。経緯として、費用と保守負担を示して合意に至ったことと、開発した帳票プログラムの概要を述べる。
設問ウ:工夫として、パッケージのアドオン用インタフェースを用いてバージョンアップの影響を受けにくい方式を採用し、保守性を確保。成果として開発規模を抑えつつ目的を達成したことを述べ、今後の改善点として標準機能適用の判断基準の明文化を挙げる。
※論文式のためIPA公式の解答例はありません。上記は出題趣旨に沿って作成した骨子の一例で、正解ではありません。必ずご自身の実務経験に置き換えて論述してください。
午後I(記述)
問1 プロジェクトのリスク管理とリスク対応計画
中堅SI企業C社が、地方の製薬会社K社の生産管理システム構築を、近隣のL社と協力して遂行する事例。新バージョンのパッケージ適用、L社のプロジェクト管理能力やテレビ会議での意思疎通など複数のリスクを洗い出し、リスク評価マトリックスによる優先順位付け、予防処置、コンティンジェンシ予備とマネジメント予備の使い分けを問う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。
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設問1:a 現バージョンで開発することでK社を説得する/b 中断時の費用精算方法を事前に合意して契約に盛り込む/中止までに掛かった費用を支払う旨を契約に明記する
設問2(1) 品質面:機能仕様の理解が不十分で設計不具合が発生する/洗い出されていない初期の不具合が発生する。体制面:新バージョンでの開発を経験した要員を確保できない/新バージョンの機能が分かる要員を確保できない。/(2) レビューの指摘が正確に反映されているかを確認するため/(3) 項番1と4
設問3(1) リスクの影響度が大きいから/(2) 技術移転の専任者をL社へ派遣する。/(3) マネジメント予備の使用が必要だから/計画時に想定していないコストだから/K社プロジェクトの予算外のコストだから
問2 外部委託先の選定
金融機関T社の事務センタのシステム再構築で、第一期システムの開発を請負契約で外部委託する事例。業務部の協力が十分に得られない中での要求仕様書の作成、提案内容と提案価格を総合的に評価する選定方法の設計、基準点の活用、極端に低い価格への上限設定、選定結果の妥当性確認を問う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。
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設問1(1) 使い勝手の改善についての要望が多発する/変更要求が多発する。/(2) a 業務/事務処理/(3) b 妥当性を確認すること/早めに確認すること
設問2(1) 競争原理によって発注価格を適正化できる/適正な金額の委託先を選定できる。/(2) 第二期システムの有力候補となる委託先を選定できるから/着実に対応できる業務に精通した委託先を選定できるから/(3) 内容点が基準点に満たない会社は選定対象外とする/選定のスクリーニングの基準として使用する。/(4) c 極端に低い金額が提示された/想定外の低い金額が提示された
設問3(1) 要求仕様書の記述内容に問題がないこと/Y社だけが不利となる要求仕様書ではないこと/評価項目や配点に問題がないこと/(2) 提案価格の根拠となる規模や生産性/他社の提案価格が極端に高いわけではないこと
問3 プロジェクト推進方法の見直し
中堅SI企業M社が通信事業者Q社の動画配信管理システムの追加開発を、一部工程を委任から請負契約へ変更して遂行する事例。契約形態変更に伴う成果物のレベル合わせ、仕様変更ルールの見直し、再見積り手順の追加、報告内容の見直し、そして残業増加の原因である重複した定例会議の運営改善やエスカレーションを問う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。
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設問1:後から想定外の成果物を要求され、費用や期間が予定を超過するリスク/成果物が不明確なまま契約して後でトラブルが発生するリスク
設問2(1) 見積りを外部設計、内部設計から結合テスト、総合テストに分ける/請負契約部分の見積りは工数でなく金額で提示する。/(2) 請負契約部分の見積り精度を上げてリスクを低減できるから/外部設計の結果に基づいて請負契約の工程の見積りができるから/(3) 請負契約部分の工数実績の報告は行わない/請負契約部分は結合テストの結果を報告する。
設問3(1) 実際の作業の進め方やルールの整備状況/報告内容が似た二つの定例会議の存在/(2) 大勢の前では話しにくいことを聞き出すため/話しやすい環境を作るため
設問4(1) a 報告や連絡の改善提案/仕様変更に関する調整。b 必要に応じて随時/(2) 優先度の高い未決事項を報告する/解決期限が近い未決事項を報告する。/(3) 連絡会でR課長に相談する。
問4 ソフトウェア開発の品質管理
ソフトウェア会社E社が携帯電話のソフトウェア開発を受託し、開発チームと結合テストチームを分離した体制で品質を管理する事例。体制分離によるリスク軽減とコンティンジェンシプラン、レビュー時間や摘出欠陥数の品質管理指標と許容範囲による品質評価、誤字脱字を欠陥に数えないルールの意図、逸脱チームへの対処を問う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。
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設問1(1) G主任とのコミュニケーションやヒアリングへの対応に時間がとられるから/(2) 内部設計や製造・単体テストと結合テストの準備が並行して実施でき、遅れても準備に影響しないから/(3) 結合テストの検証が正確かつ容易に実施でき、検証効率が向上するから
設問2(1) 本質的な欠陥だけに注目してレビューが実施でき、当該工程で摘出すべき欠陥が十分に摘出されるから/(2) レビュー対象となる設計書に事前に目を通す/設計書を事前に提示する。/(3) 誤字、脱字、表記ルール違反を除去してからレビューに持ち込む。
設問3(1) 機能B開発チーム/(2) a 再レビューの実施/品質の検証