平成22年度 プロジェクトマネージャ試験 午後問題

午後II(論文)は、IPAが公式の解答例を公表していません。そこで当サイトでは、公表されている出題趣旨と採点講評を手がかりに、設問ア・イ・ウそれぞれで何を書くべきかを整理した論述の骨子例を独自に作成しました。想定シナリオ付きなので、自分の実務経験に置き換える際の型としてお使いください。午後I(記述)はIPA公式の解答例と、解答を導く着眼点を併記しています。

午後II(論文)

午後II平成22年度実過去問

問1 システム開発プロジェクトのリスク対応計画について

設問ア(800字以内):あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴とプロジェクト目標について述べよ。

設問イ(800字以上1,600字以内):設問アで述べたプロジェクトの立上げ時に存在したリスク要因とプロジェクト目標の達成を阻害するようなリスクは何か。また、リスク分析をどのように行ったかを具体的に述べよ。

設問ウ(600字以上1,200字以内):設問イで述べたリスク分析に基づいて策定した予防処置や現実化したときの対策などのリスク対応計画と、その実施状況及び評価について具体的に述べよ。

reveal

出題趣旨:PMには、システム開発プロジェクトのリスクを早期に把握し、適切に対応することでプロジェクト目標を達成することが求められる。本問では、プロジェクト立上げ時に存在するリスク要因と想定されるリスクを、定性的リスク分析や定量的リスク分析により分析し、予防処置や現実化時の対策などのリスク対応計画を策定・管理する、PMとしての実践的な能力を問う。

採点講評:プロジェクト立上げ時に存在したリスク要因と想定したリスク、その分析に基づいて策定したリスク対応計画についての具体的な記述が多かった。一方、リスク要因とリスクの定義を混同し、想定したリスクの分析ではなく既存のリスク要因についての分析を記述している論述も見られた。日ごろから言葉の使い方に気をつけてほしい。なお設問アでは、プロジェクトの特徴ではなくプロジェクトやシステムの概要に終始する論述も多かった。

📝 論述の骨子例(参考・IPA非公式)

【想定シナリオ】地方銀行の勘定系周辺システムを、初採用のクラウド基盤上に短納期で構築するプロジェクト。立上げ時に、新技術の成熟度と経験者不足というリスク要因が存在した。

設問ア:プロジェクトの特徴(短納期・高信頼性要求、初採用のクラウド基盤で並行開発が多い)と、納期・品質・コストのプロジェクト目標を述べる。

設問イ:立上げ時のリスク要因(新技術の未成熟、経験者不足)と想定リスク(性能未達・品質低下によるスケジュール遅延)を挙げ、定性的分析で発生確率と影響度をマトリクスで評価し、定量的分析で遅延日数とコスト増を試算して優先順位付けした過程を述べる。

設問ウ:予防処置(PoCによる技術検証、経験者の確保と教育、段階リリース)と現実化時の対策(代替製品への切替え、バッファの投入)を策定。PoCで課題を早期に解消し、監視指標で兆候を把握した実施状況と、目標達成という評価、リスク登録簿の継続運用を今後の改善点として述べる。

※論文式のためIPA公式の解答例はありません。上記は出題趣旨に沿って作成した骨子の一例で、正解ではありません。必ずご自身の実務経験に置き換えて論述してください。

午後II平成22年度実過去問

問2 システム開発プロジェクトにおける業務の分担について

設問ア(800字以内):あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴とプロジェクト組織の構成について述べよ。

設問イ(800字以上1,600字以内):設問アで述べたプロジェクトにおいて、チームリーダなどに分担させた業務の内容と分担させた理由、分担のルールとその周知徹底の方法について、工夫を含めて具体的に述べよ。

設問ウ(600字以上1,200字以内):設問イで述べた業務の分担に対する評価、認識した課題、今後の改善点について具体的に述べよ。

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出題趣旨:PMには、プロジェクトの責任者としてシステム開発プロジェクトの管理・運営を行い、目標を達成することが求められる。本問では、管理・運営に関する承認・判断・指示などの業務をチームリーダなどに分担させる際に、分担業務をプロジェクトのルールとして明確化しメンバに周知徹底すること、及び経験や力量に応じた分担範囲の決定や適切な報告の義務付けなどの工夫について、PMとしての総合的な能力を問う。

採点講評:プロジェクトの管理・運営を効率よく実施するために、チームリーダなどと分担したマネジメント業務についての具体的な記述が多かった。しかし、PMの承認・判断・指示などのマネジメント業務の分担ではなく、PMの付随業務の分担や、分担ルールが明確でなく任せきりにしている分担の記述も見られた。

📝 論述の骨子例(参考・IPA非公式)

【想定シナリオ】製造業の生産管理システム刷新プロジェクト。3サブチーム約30名規模で、PMが変更承認と進捗判断の一部を各チームリーダに分担した。

設問ア:プロジェクトの特徴(大規模・短納期で並行作業が多い)と、機能別3サブチームにPMOを加えたプロジェクト組織の構成を述べる。

設問イ:分担させた業務(影響が軽微な変更の承認、担当範囲内の進捗遅れの判断と一次対策の指示)と理由(意思決定の集中を避けて迅速化)、分担のルール(承認できる金額・影響範囲の上限を定め、逸脱時はPMにエスカレーション)とその周知徹底(計画書に明記しキックオフで説明)を、リーダの力量に応じて範囲を調整した工夫を含めて述べる。

設問ウ:評価(意思決定が迅速化し進捗が改善した)、認識した課題(リーダ間で承認基準の解釈にばらつき、報告の粒度が不揃い)、今後の改善点(判断基準の具体化と報告様式の標準化、リーダ育成)を述べる。

※論文式のためIPA公式の解答例はありません。上記は出題趣旨に沿って作成した骨子の一例で、正解ではありません。必ずご自身の実務経験に置き換えて論述してください。

午後II平成22年度実過去問

問3 システム開発プロジェクトにおける進捗管理について

設問ア(800字以内):あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴と、プロジェクトにおいて重点的に管理したアクティビティとその理由、及び進捗管理の方法について述べよ。

設問イ(800字以上1,600字以内):設問アで述べたアクティビティの進捗管理に当たり、進捗遅れの兆候を早期に把握し、品質を確保した上でアクティビティの完了日を守るための対策について、工夫を含めて具体的に述べよ。

設問ウ(600字以上1,200字以内):設問イで述べた対策にもかかわらず進捗が遅れた際の原因と影響の分析、追加で実施した対策と結果について具体的に述べよ。

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出題趣旨:PMには、プロジェクトのスケジュールを策定し、これを遵守することが求められる。本問では、クリティカルパス上などその遅れが全体に影響を与えるアクティビティを特定して重点管理し、進捗遅れの兆候を早期に把握して品質を確保した上で完了日を守る対策、及び対策にもかかわらず遅れた際の原因・影響の分析と回復のための対策について、PMとしての実践的な能力を問う。

採点講評:重点的に管理するアクティビティを特定して進捗管理を行った経験がうかがえる論述が多かった。しかし、進捗遅れの兆候の把握と完了日を守るための対策との関連がうかがえない論述、発生した進捗遅れへの対処の説明に終始し、進捗が遅れた際の原因や影響の分析に言及していない論述も見られた。

📝 論述の骨子例(参考・IPA非公式)

【想定シナリオ】保険会社の契約管理システム再構築プロジェクト。外部設計がクリティカルパス上にあり、仕様確定の遅れが全体に波及するリスクを抱えていた。

設問ア:プロジェクトの特徴(短納期・高品質要求)と、重点管理したアクティビティ(クリティカルパス上の外部設計)及びその理由(後続工程への波及が大きい)、進捗管理の方法(EVMと成果物ベースの進捗確認)を述べる。

設問イ:完了日までにチェックポイントを細かく設定し、スキルの高い要員を配置、レビュー計画を前倒しして成果物の完成度・品質を定期的に確認。兆候を把握した時点で予防処置を講じる工夫を述べる。

設問ウ:対策にもかかわらず利用部門の意思決定の遅れで仕様確定が遅れた原因と、後続工程が圧縮される影響を定量的に分析。追加対策(利用部門責任者との作業方法の見直し、レビューチームの編成、要員の追加投入)を実施し、遅れを回復した結果と評価を述べる。

※論文式のためIPA公式の解答例はありません。上記は出題趣旨に沿って作成した骨子の一例で、正解ではありません。必ずご自身の実務経験に置き換えて論述してください。

午後I(記述)

午後I平成22年度実過去問

問1 他社協業による新システム構築と結合テストの品質評価

金融機関C社が法人分野に強いE社と包括的な協力関係を結び、E社の販売管理システムを改造して新システムを構築する事例。協業先システムを基にした開発スケジュールの策定、用語集などのドキュメント整備、テスト密度・障害密度を用いた結合テストの品質評価方法の検討を通じて、PMとしての実務能力を問う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。

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設問1(1) 初期障害への対応/(2) E社システムの理解が早まる(深まる)/開発作業が円滑に立ち上がる。

設問2(1) 改修量が想定規模以上に膨らむ/開発規模が予算を超過する/(2) E社システムの使い勝手を実感でき、特徴を正確に把握できるから。

設問3(1) 新規に開発又は修正した部分の影響を受けるプログラム/(2) 当該チームが担当したほかの機能に品質の問題がないこと/(3) 十分なテストが行われていない(テストケースが不足している)場合/(4) テストケースの妥当性を確認する(再レビューを行う)。

設問4(1) 品質が比較的安定した状態で障害対応が行え、既存の開発作業への影響が少ないから/(2) 稼働開始時に対応が必須かどうか(一部を稼働開始後にできないか)の確認。

午後I平成22年度実過去問

問2 EUCからWebアプリケーションへの移行とステークホルダ調整

製造業J社が、内部統制上のリスクを指摘されたEUC業務をワークフロー機能を備えたWebアプリケーションへ移行する事例。すべての移行を求める経理部と優先順位を付けたい情報システム部の要求が対立する中で、役員を委員長とする委員会の設置、スコープの絞込み、外部設計書承認の最終期限の確定など、ステークホルダ間の利害調整を問う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。

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設問1:承認を得ない変更や改ざんが業務担当者によって行われるリスク。

設問2(1) 情報システム部と経理部の目的意識が合っていない/(2) 部門間の調整の権限をもった調整機関とする(役員の支援を受けてプロジェクトを進める)ため/(3) 今年度中に移行を完了すること。

設問3(1) 影響度の「大」のもの/(2) a:開発期間(開発工数)。

設問4(1) 従来の業務手順を変えたくないという姿勢/(2) 利用者の承認を得られず手戻りとなり、スケジュールが遅れる。

設問5(1) b:外部設計書承認の最終期限/(2) c:業務効率向上による効果。

午後I平成22年度実過去問

問3 システム再構築におけるデータ移行計画

通信事業者A社が契約情報を管理する現行システムを再構築し、200万件のデータを6時間以内という制約の下で本番移行する事例。本番移行のリスクを軽減する移行方式の評価・決定、移行総合テストや移行リハーサルの計画、現行システム経験者の確保、テストで判明した不一致データへの対策など、制約下の移行計画に関するPMの実践力を問う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。

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設問1(1) 本番移行の時間短縮(作業軽減)ができるから/(2) 本番移行の作業時間を見積もる/(3) 本番移行が6時間以内で終わること。

設問2:現行システムの開発経験者を新システムの体制に参加させること。

設問3(1) 本番環境に近いデータでテストができるから/(2) 移行作業と業務機能開発のどちらに原因があるかの切分けが迅速にできる(両面から並行で調査できる)から。

設問4(1) 修正が間に合わずサービス開始が遅延する/デグレードし移行の見通しが立たなくなる/(2) 実際に業務機能を利用して正しく変更できることを確認し、作業時間を測定して本番移行の時間内で実施可能か確認する。

午後I平成22年度実過去問

問4 組込みシステム開発の請負契約の見積り

電機メーカN社のカーナビの大幅なモデルチェンジで、P社が機能Gを請負開発する事例。機能Gには第三者W社の製品Xが組み込まれ、過去に製品Xの品質低下でコスト増を招いた反省がある。基準生産性・工期からの見積り、外部の変動要因である製品X品質に関する前提条件の明示、契約上のリスク管理など、コスト及び工期の見積りと契約リスク管理を問う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。

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設問1:外部設計。

設問2(1) 結合テストで検出した製品Xの欠陥数(製品Xの欠陥で再テストを行った結合テストケース数)/(2) 見積りの前提条件からのかい離を早期に検出し、欠陥多発時のP社作業量増加に備えるため/(3) a:数値化して(具体的に)、b:合意する。

設問3(1) c:低く/d:高く/e:低く/(2) 工程:仕様確定時期に関する条件/作業量:外部設計完了後に再見積りを行う条件(要件の影響範囲の想定規模に関する条件)。

設問4(1) 製品Xの品質が前提条件からかい離したことによるコスト増はN社負担とする/(2) 改修後の製品Xに対する機能Gを用いた回帰(リグレッション)テストの実施。

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