平成23年度特別 プロジェクトマネージャ試験 午後問題

午後II(論文)は、IPAが公式の解答例を公表していません。そこで当サイトでは、公表されている出題趣旨と採点講評を手がかりに、設問ア・イ・ウそれぞれで何を書くべきかを整理した論述の骨子例を独自に作成しました。想定シナリオ付きなので、自分の実務経験に置き換える際の型としてお使いください。午後I(記述)はIPA公式の解答例と、解答を導く着眼点を併記しています。

午後II(論文)

午後II平成23年度(特別)実過去問

問1 システム開発プロジェクトにおけるコストのマネジメント

設問ア(800字以内):あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴、及びプロジェクトにおけるコストの構成とその特徴について述べよ。

設問イ(800字以上1,600字以内):設問アで述べたプロジェクトにおけるコスト見積りの方法とコスト見積りの精度を高めるための工夫、及び予算の作成に当たって特に考慮したことについて具体的に述べよ。

設問ウ(600字以上1,200字以内):設問アで述べたプロジェクトの遂行中におけるコスト差異を把握するための仕組み、及び差異を把握した場合にとったプロジェクトの予算超過を防ぐための対策について具体的に述べよ。

reveal

出題趣旨:PMには、予算の基となるコスト見積りの精度を高めるとともに、予算に沿ってプロジェクトを遂行することが求められる。本問では、コストの各構成要素の見積り方法と精度を高める工夫、予算作成上の考慮点、及び遂行中のコスト差異を把握する仕組みと予算超過を防ぐ対策について、実務経験に基づく具体的な論述を期待する。

採点講評:コスト見積りの方法、精度を高めるための工夫、コスト差異を把握するための仕組みについては具体的な記述が多かった。しかし、予算超過を防ぐための対策については、コスト差異を把握した状況を踏まえた具体的な対策の記述を期待したが、記述内容が一般的な論述も見られた。

📝 論述の骨子例(参考・IPA非公式)

【想定シナリオ】中堅SI企業で、一部に未経験のパッケージを採用した流通業向け基幹システム再構築。開発要員費が大半を占め、未経験技術の見積り精度がプロジェクトの採算を左右した。

設問ア:プロジェクトの特徴(固定予算・短納期で一部に未経験技術を採用)と、コストの構成(開発要員費が約7割、開発環境費、ライセンス費、予備費)及びその特徴(要員費の変動リスクが大きい)を述べる。

設問イ:開発要員費は過去の類似プロジェクトからの類推と生産性基準値の補正を併用して見積り、未経験部分は基準値を割り引いて修正。精度を高める工夫として見積りの前提条件を明示し、情報精度が低い部分は予算に幅をもたせ、リスク管理の観点から予備費を設定したことを述べる。

設問ウ:各アクティビティ完了ごとに実コストと予算を比較しEVMで差異を把握する仕組みを確立。差異の原因と影響度を分析して完了時コストを予測し、予算超過が予想された局面で生産性改善策を実施、状況に応じて利用部門とスコープを調整した対策を述べ、その評価と改善点を示す。

※論文式のためIPA公式の解答例はありません。上記は出題趣旨に沿って作成した骨子の一例で、正解ではありません。必ずご自身の実務経験に置き換えて論述してください。

午後II平成23年度(特別)実過去問

問2 システム開発プロジェクトにおける品質確保策

設問ア(800字以内):あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴、及びその特徴を踏まえて設定された品質目標について述べよ。

設問イ(800字以上1,600字以内):設問アで述べた品質目標の達成を阻害する要因とそのように判断した根拠は何か。また、その要因に応じて品質計画に含めた品質確保策はどのようなものかについて具体的に述べよ。

設問ウ(600字以上1,200字以内):設問イで述べた品質確保策の作成において、予算や納期の制約を考慮してどのような工夫をしたか。また、工夫した結果についてどのように評価しているかについて具体的に述べよ。

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出題趣旨:PMには、品質保証や品質管理の方法などについて品質計画を立案し、設定された品質目標を予算や納期の制約の下で達成することが求められる。本問では、品質目標の達成を阻害する要因とその判断根拠、要因に応じて品質計画に含めた品質確保策、及び予算・納期の制約を踏まえた工夫とその評価について、具体的な論述を期待する。

採点講評:品質目標を阻害する要因と判断した根拠については具体的な論述が多かった。しかし、品質目標、品質目標の達成を阻害する要因、及び阻害する要因に応じた品質確保策について、論理的に整合しない論述も見られた。また、品質計画についての論述を求めているにもかかわらず、発生した品質上の問題への対応に終始した論述も見られた。

📝 論述の骨子例(参考・IPA非公式)

【想定シナリオ】稼働中の販売管理システムの大規模改修で、改修の影響範囲が広く、要員の一部が業務知識に乏しかったため、既存機能のデグレード防止と要件の作り込み品質が課題となった。

設問ア:プロジェクトの特徴(稼働中システムの広範囲改修、短納期、業務知識に差がある混成チーム)と、それを踏まえた品質目標(本番リリース後の重大障害ゼロ、既存機能のデグレード防止)を述べる。

設問イ:阻害要因を、要員の業務知識不足による要件の見落とし・誤解と、改修影響が広範囲に及ぶことによる既存機能のデグレードと判断した根拠を示す。要因に応じ、有識者を交えたウォークスルーとプロトタイプによる利用者確認、構成管理による修正箇所の確認と既存機能を含めた回帰テストを品質計画に含めたことを述べる。

設問ウ:制約を考慮し、ウォークスルー対象を難易度の高い要件に絞り、表計算ソフトでプロトタイプを作成して設計費用を削減、回帰テストは前回のテスト項目・データを再利用。結果として期間と費用を抑えつつ品質目標を達成できたと評価し、残る課題を述べる。

※論文式のためIPA公式の解答例はありません。上記は出題趣旨に沿って作成した骨子の一例で、正解ではありません。必ずご自身の実務経験に置き換えて論述してください。

午後II平成23年度(特別)実過去問

問3 システム開発プロジェクトにおける組織要員管理

設問ア(800字以内):あなたが携わったシステム開発プロジェクトの目標、及びプロジェクトのチーム編成とその特徴について述べよ。

設問イ(800字以上1,600字以内):設問アで述べたプロジェクトの遂行中に察知した人間的側面の問題と、その問題によって誘発されると想定したプロジェクト目標の達成を阻害するリスク、及び人間的側面の問題への対策について具体的に述べよ。

設問ウ(600字以上1,200字以内):設問イで述べた対策の評価、認識した課題、今後の改善点について具体的に述べよ。

reveal

出題趣旨:PMには、プロジェクト目標の達成に向けてプロジェクトを円滑に運営できるチームを編成し、要員が個々の能力を十分に発揮できるように管理することが求められる。本問では、遂行中に察知した人間的側面の問題と、それによって誘発されると想定したプロジェクト目標の達成を阻害するリスク、及び原因の除去・影響の軽減といった対策について、具体的な論述を期待する。

採点講評:プロジェクト遂行中に察知した人間的側面の問題と、その問題によって誘発されると想定したプロジェクト目標の達成を阻害するリスク、及び人間的側面の問題への対策については具体的な論述が多かった。しかし、察知するのではなく人間的側面の問題を想定した記述や、設問アで述べたプロジェクト目標と関係のないリスクの記述も見られた。

📝 論述の骨子例(参考・IPA非公式)

【想定シナリオ】短納期の金融系システム開発で、中核メンバに過度な負荷が集中し、要員間の対立と意欲低下の兆候が現れた。

設問ア:プロジェクトの目標(品質を確保しつつ短納期で稼働させる)、チーム編成(機能別サブチームと外部委託の混成)とその特徴(中核メンバへの依存度が高い)を述べる。

設問イ:遂行中、中核メンバの残業増加や口数の減少、若手との意見対立を察知。放置すれば意欲低下による成果物の品質低下や、健康を損なうことによる進捗の遅延を招くと想定し、面談で原因を把握した上で、作業の再配分と役割の明確化、コミュニケーションの場の設定によって原因除去と影響軽減を図った対策を述べる。

設問ウ:対策により負荷が平準化し対立が解消したと評価。一方で早期察知の仕組みが属人的であった課題を認識し、定期的な状態把握とラインによるフォロー体制の定着を今後の改善点とする。

※論文式のためIPA公式の解答例はありません。上記は出題趣旨に沿って作成した骨子の一例で、正解ではありません。必ずご自身の実務経験に置き換えて論述してください。

午後I(記述)

午後I平成23年度(特別)実過去問

問1 システム開発プロジェクトにおけるスケジュール管理

エンジニアリング企業S社の設計ドキュメント管理システム(新EDMS)構築を題材に、成果物の洗い出しからWBS・作業工程図(ネットワークスケジュール)を作成し、クリティカルパスと体制面のリスクを踏まえた進捗管理、及び納期を2か月短縮する計画変更を問う事例。要員スキル不足のリスクとその監視、前倒しによる工期短縮を扱う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。

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設問1(1) ①G/②1/③8/④8/⑤8/⑥8/⑦0/⑧0/(2) 成果物を基に計画することで作業項目の漏れを防ぎたいから/目に見える検証可能なもので進捗を把握したいから

設問2(1) 開発チームの作業項目はすべてクリティカルパス上にあるから/(2) 〔リスク要因〕新バージョンの開発スキルをもった要員が確保されていない〔観点〕品質が確保された上で進捗しているか/(3) T社の要員による設計レビュー

設問3(1) T社要員を専任で参加させること/(2) 基盤チームの工程に1か月しか余裕がないから/(3) A,C

午後I平成23年度(特別)実過去問

問2 基幹システムの再構築(ERP導入)における要件定義

SI企業M社がアパレル企業D社の基幹システム再構築にERPを導入する事例。中規模開発の標準スケジュールの適用、準委任契約における顧客との責任分担、要件定義書の完成責任、利用部門の業務プロセス変更への抵抗など、ステークホルダ間の利害調整とプロジェクト推進上の問題対応を問う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。

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設問1(1) ERPの標準機能で対応できる業務要件の範囲/ERPの標準機能と業務要件とのギャップ/(2) 経理部のメンバが要件定義作業に参加できなくなること

設問2(1) 〔責任分担〕D社が決めるべき業務要件をM社で決めることはできない〔契約との整合性〕準委任契約では成果物の完成責任を負うことは適切でない/(2) 業務要件に関する理解不足/業務要件に関する理解の誤り/(3) 追加開発の規模/ERPの適合率

設問3(1) 開発の期間に20%のスケジュールの余裕を含んでいるから/(2) 再構築の目的を理解してプロジェクトを推進すること/ERPの標準機能の利用を前提に,要件定義作業を進めること

午後I平成23年度(特別)実過去問

問3 金融機関の審査システムの再構築

メインフレームからサーバ環境へ移行する審査システムの再構築を題材に、1次・2次開発や別プロジェクトのミドルソフト開発など、関連するシステムの開発・稼働状況を考慮した計画立案と実行管理を問う。ミドルソフトの不具合や現行システムの障害多発への対応を通じ、スケジュール見直し・品質確保・リスク軽減を多角的に扱う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。

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設問1(1) 総合テストが予定どおりに進まない/入力ミスによる手戻りが発生する/(2) 現行機能との仕様の相違が発生する/現行機能が保証できない/(3) 1次開発の障害に対応するための手戻りが多発する/仕様変更が発生し,単体テストのやり直しが必要となる

設問2(1) 5台以上の端末から同時に出力要求を行わない/5台以上の端末を同時に使用しない/(2) 障害の原因の切分けが難しくなること/ミドルソフトに関する不具合の発生/(3) 総合テストの環境の不具合が事前に摘出できるから/総合テストの環境の設定内容の妥当性を事前に確認できるから

設問3(1) 1次開発の仕様に大きな影響があること/1次開発への取込みの工数が大きいこと/(2) 結合テストの完了の遅延/手戻りの発生による進捗の遅延/(3) 修正結果の確認用データの仕様/修正結果の確認用のテストケース

午後I平成23年度(特別)実過去問

問4 プロジェクトの評価(混入工程に着目した品質分析)

ディジタルカメラのソフトウェア開発プロジェクトの評価を題材に、欠陥の混入工程に着目した品質分析を問う。混入工程別の欠陥摘出計画と実績の比較、改修工数の分析、静的プログラム解析ツールの活用、再発防止策の立案など、実績を分析して次のプロジェクトに活かす品質管理の実践力を扱う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。

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設問1(1) 前工程の成果物の再レビュー/(2) 改修工数が大きい欠陥の予防・早期検出で,手戻りコストを低減できるから/(3) 保守性に関する欠陥/セキュリティに関する欠陥

設問2(1) 該当担当者の成果物をほかのメンバでレビューする/(2) 摘出した欠陥数の差異は,混入工程が詳細設計の欠陥によるものだから/(3) 混入工程が詳細設計である欠陥の数

設問3(1) a ドキュメント/b プログラム/c 再レビュー・再テスト/d 影響範囲/(2) なぜレビューで欠陥を摘出できなかったか/(3) メンバ全員で精査結果のレポート内容を共有する

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