平成25年度 プロジェクトマネージャ試験 午後問題
午後II(論文)は、IPAが公式の解答例を公表していません。そこで当サイトでは、公表されている出題趣旨と採点講評を手がかりに、設問ア・イ・ウそれぞれで何を書くべきかを整理した論述の骨子例を独自に作成しました。想定シナリオ付きなので、自分の実務経験に置き換える際の型としてお使いください。午後I(記述)はIPA公式の解答例と、解答を導く着眼点を併記しています。
午後II(論文)
問1 システム開発業務における情報セキュリティの確保について
設問ア(800字以内):あなたが携わったシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクトの特徴と、情報セキュリティを確保するために特定したリスクについて述べよ。
設問イ(800字以上1,600字以内):設問アで述べたリスクに対して、あなたが実施した運営面の予防策と、その周知の方法、及び予防策の遵守を確認するためのモニタリングの仕組みについて、工夫を含めて具体的に述べよ。
設問ウ(600字以上1,200字以内):設問イで述べたモニタリングによって発見された問題と、その対処について具体的に述べよ。
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出題趣旨:PMには、システム開発業務において情報セキュリティを確保するため、プロジェクトの特徴を踏まえてリスクを特定し、運営面の予防策とその遵守を確認するモニタリングの仕組みを講じることが求められる。本問では、特定したリスクに対する運営面の予防策とその周知、及びモニタリングによって発見された問題への対処について、具体的な論述を期待した。
採点講評:予防策の周知、予防策の遵守確認のためのモニタリングの仕組み、発見された問題とその対処については具体的な論述が多かった。一方、特定されたリスクに対する運営面の予防策が不明確な論述や、運営面とは関係のない予防策の論述も見られた。なお全体として、論述の対象とするプロジェクトの概要で記述内容の整合が取れていないものや、設問アが機能概要・経歴の論述に終始するものも目立った。
📝 論述の骨子例(参考・IPA非公式)
【想定シナリオ】個人情報を扱う自治体向け窓口システムの開発。多数の委託先が参画し、開発環境で本番相当データを扱うため、情報漏えいリスクの管理がプロジェクトの成否を左右した。
設問ア:プロジェクトの特徴(個人情報を扱い委託先が多い、短納期で並行作業が多い)と、特定したリスク(テストデータの持出し、私物端末の利用、アクセス権限の過剰付与による情報漏えい)を述べる。
設問イ:運営面の予防策として作業環境の分離・持込持出しの制限・権限の最小化ルールを策定し、委託先を含む全員への説明会と誓約書で周知。遵守を確認するモニタリングとして、入退室ログと操作ログの定期点検、抜打ち監査の仕組みを設けた工夫を述べる。
設問ウ:モニタリングで発見した問題(退場者アカウントの権限残置、私物媒体の接続痕跡)と、その対処(即時のアカウント無効化、原因分析に基づく手順見直しと再教育)を述べ、恒久対策への反映を評価する。
※論文式のためIPA公式の解答例はありません。上記は出題趣旨に沿って作成した骨子の一例で、正解ではありません。必ずご自身の実務経験に置き換えて論述してください。
問2 システム開発プロジェクトにおけるトレードオフの解消について
設問ア(800字以内):あなたが携わったシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクトの概要と、トレードオフの解消が必要になった問題について述べよ。
設問イ(800字以上1,600字以内):設問アで述べた問題におけるトレードオフの状態と、あなたが実施した解消策について、工夫を含めて具体的に述べよ。
設問ウ(600字以上1,200字以内):設問イで述べた解消策の評価と、残された問題及びその解決方針について具体的に述べよ。
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出題趣旨:PMには、プロジェクト目標の達成に向けて、品質・コスト・納期などの間で生じるトレードオフを的確に認識し、関係者の合意を得ながら解消することが求められる。本問では、トレードオフの解消が必要になった問題とその状態、実施した解消策と工夫、及び解消策の評価と残された問題への対応について、具体的な論述を期待した。
採点講評:トレードオフの解消が必要になった問題に関し、トレードオフの状態と解消策、解消策の評価、残された問題とその解決方針については具体的な論述が多かった。一方、トレードオフという言葉を用いながらトレードオフの状態が不明確な論述や、そもそもトレードオフの状態でない問題についての論述も見られた。
📝 論述の骨子例(参考・IPA非公式)
【想定シナリオ】流通業の販売管理システム刷新で、稼働時期が繁忙期前に固定される一方、要件追加により品質確保と納期遵守が両立できなくなり、トレードオフの解消が必要になった。
設問ア:プロジェクトの概要(納期が固定で繁忙期前の稼働が必須)と、トレードオフの解消が必要になった問題(要件増加で全機能を予定品質まで作り込むと納期に間に合わない)を述べる。
設問イ:トレードオフの状態(品質を優先すると納期超過、納期を優先すると品質不足)を明確化し、機能を業務影響度で優先度分けして初回リリース範囲を絞り、残機能を段階リリースとする解消策を実施。ステークホルダとの合意形成と、リスクの高い機能に検証資源を重点配分した工夫を述べる。
設問ウ:解消策の評価(納期を守りつつ重要機能の品質を確保できた)と、残された問題(段階リリース分の運用負荷、利用者への周知)及びその解決方針(追加リリース計画と暫定運用の整備)を述べる。
※論文式のためIPA公式の解答例はありません。上記は出題趣旨に沿って作成した骨子の一例で、正解ではありません。必ずご自身の実務経験に置き換えて論述してください。
問3 システム開発プロジェクトにおける工程の完了評価について
設問ア(800字以内):あなたが携わったシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクトの概要と、工程の完了評価を行うに当たって設定した完了条件について述べよ。
設問イ(800字以上1,600字以内):設問アで述べた工程の完了評価の結果、把握した問題と次工程への影響、及び検討した対応策について具体的に述べよ。
設問ウ(600字以上1,200字以内):設問イで述べた問題の背景や原因を踏まえて立案した再発防止策について、その実施状況を含めて具体的に述べよ。
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出題趣旨:PMには、次工程への手戻りを防ぐため、各工程の完了評価を適切に行い、把握した問題に対応するとともに、原因を踏まえた再発防止を図ることが求められる。本問では、工程の完了評価の結果把握した問題と次工程への影響、検討した対応策、及び問題の背景・原因を踏まえた再発防止策について、具体的な論述を期待した。
採点講評:工程の完了評価の結果把握した問題と次工程への影響、検討した対応策、問題の背景や原因を踏まえた再発防止策については具体的な論述が多かった。一方、工程の完了条件と次工程の開始条件が不明確な論述や、工程の完了評価以前に対処すべき問題についての論述も見られた。
📝 論述の骨子例(参考・IPA非公式)
【想定シナリオ】金融機関の勘定系周辺システム開発で、設計工程の完了評価において設計品質のばらつきを検知し、製造工程への手戻りを防ぐ判断が求められた。
設問ア:プロジェクトの概要(高品質が要求され、並行作業が多い)と、設計工程の完了条件(レビュー完了、指摘の是正済み、要件とのトレーサビリティ確保など)を述べる。
設問イ:完了評価の結果、一部サブシステムでレビュー指摘密度が基準を下回り設計品質が不十分と把握。次工程の製造で手戻りが多発する影響を見込み、対応策として当該範囲の追加レビューと完了判定の保留、要員の再配置を検討したことを述べる。
設問ウ:問題の背景・原因(レビュー観点の不統一と、スケジュール圧迫によるレビューの形骸化)を踏まえ、レビューチェックリストの標準化、観点別レビューの導入、進捗と品質を併せて評価する仕組みを再発防止策として立案・実施した状況を述べる。
※論文式のためIPA公式の解答例はありません。上記は出題趣旨に沿って作成した骨子の一例で、正解ではありません。必ずご自身の実務経験に置き換えて論述してください。
午後I(記述)
問1 設計ドキュメント管理システムの開発とクラウドサービスの選定
エンジニアリング企業K社の設計ドキュメント管理システム(EDMS)刷新を題材に、複数のクラウドサービス(IaaS/PaaS/SaaS)各社を比較し、開発期間・サーバ運用条件・顧客要求への適合を総合的に評価して最適案を採択する事例。作業工程図に基づくクリティカルパスの短縮、開発期間の再見積り、既存仕様を前提とすることに起因するリスクを扱う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。
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設問1(1) クリティカルパス上の作業だから/(2) グローバルに接続拠点がある安全なネットワークを提供すること
設問2(1) a=10/b=9/c=8/(2) 既存のEDMSの仕様とZ社機能の相違により、K社の業務に合わせた機能への対応に期間が掛かること
設問3(1) 来年1月初めから利用したいという要求に対応できない/新しい海外顧客向け大型製造装置の設計開始に間に合わない/(2) 顧客が要求する形で定期的な管理レポートを提出できるか/(3) サーバ管理についての監査ができないから
問2 モニタリングシステムの計画策定とリスクの洗い出し
通信事業者C社の経営モニタリングシステムを題材に、利用部門が策定した個別システム化計画書を分析し、潜むリスクを洗い出したうえでプロジェクト実行計画を策定する事例。データ項目間の整合性、最終利用者やD部長とのコミュニケーション、スコープ拡大に伴う要員確保、新基盤(W社ミドルウェア)採用の可否判断を扱う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。
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設問1:機能はデータ集計とレポート作成だけであり、各事業部との調整が不要と想定している点
設問2(1) 最終利用者のモニタリングシステム開発の目的/システムに対する要望/(2) データ項目間の整合性を取ること
設問3(1) 各事業部の業務担当者/(2) 課題に対応する改修業務の優先順位を上げてもらう/各事業部のシステム開発計画を見直し要員を割いてもらう/(3) 〔要員手配〕W社のミドルウェアに詳しい要員を手配できない。〔品質〕ミドルウェアの不具合で品質目標を達成できない。〔スケジュール〕開発標準の完成を待つと開発着手が遅れる。
問3 企業合併に伴うシステム開発プロジェクトの計画変更
アパレル企業A社の基幹システム更改を題材に、M社との企業合併という外部環境の変化を受けて全体計画を変更し、リスクに対応する事例。新システムへの業務プロセス統一、運用テスト期間の確保、M社データ移行の方式設計をA社と共同で行うこと、要員確保や定期改修の凍結・中止を扱う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。
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設問1:運用テストが開始できる時期を確定する必要があるから/運用テストを円滑に行うには業務プロセスの理解が必要だから
設問2(1) 開発のスコープは変わらないから/要件の変更がないから/(2) 運用テストで発生する問題に対応する時間を確保するため
設問3(1) 新システムの業務プロセスに納得した理由を説明し、M社の業務部門の理解を得る/理解するポイントをM社の業務部門に伝える/(2) 新たな業務プロセスを前向きに評価すること/業務プロセスの変更に抵抗感をもたないようにすること
設問4(1) M社のデータ移行のための要員を確保すること/(2) 新システムのデータ仕様が早期に把握できるから
問4 モバイルアプリ開発におけるステークホルダマネジメント
SNS事業者P社のスマートフォン向けモバイルアプリ開発を題材に、発言力の強い企画部や初取引の委託先U社などステークホルダの特性を分析し、関連するリスクを識別・対応する事例。仕様確定後の変更抑制とその副作用、委任・請負の契約形態、進捗・品質・保守性を確保するための管理条件を扱う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。
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設問1:顧客満足度を向上させるための企画部の重要な要求を、十分に取り込めなくなること
設問2(1) U社のプロジェクトマネジメントの実力を確認するため/(2) 使用頻度が高い・累積使用時間が長い/(3) 〔順序〕先行させる(前にする)。〔密度〕計画値を高くする/(4) 開発規模と開発期間の確認
設問3(1) a=情報セキュリティ/(2) レビュー済の成果物の量/(3) 欠陥混入の原因分析を前工程も含めて行うこと/(4) 詳細設計での保守性に関するレビュー