令和元年度 プロジェクトマネージャ試験 午後問題

午後II(論文)は、IPAが公式の解答例を公表していません。そこで当サイトでは、公表されている出題趣旨と採点講評を手がかりに、設問ア・イ・ウそれぞれで何を書くべきかを整理した論述の骨子例を独自に作成しました。想定シナリオ付きなので、自分の実務経験に置き換える際の型としてお使いください。午後I(記述)はIPA公式の解答例と、解答を導く着眼点を併記しています。

午後II(論文)

午後II令和元年度実過去問

問1 システム開発プロジェクトにおけるコスト超過の防止について

設問ア(800字以内):携わったシステム開発プロジェクトの特徴と,コストの管理の概要について述べる。

設問イ(800字以上1,600字以内):コストの管理を通じてコスト超過が予測される前に,PMとしての知識や経験に基づいて察知した,コスト超過につながると懸念した兆候は何か。懸念した根拠は何か。また,兆候の原因と立案したコスト超過を防止する対策は何かを具体的に述べる。

設問ウ(600字以上1,200字以内):設問イで述べた対策の実施状況,対策の評価,及び今後の改善点について具体的に述べる。

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出題趣旨:PMには承認された予算内でプロジェクトを完了することが求められる。コストの管理を通じてコスト超過が予測される前に,会議での発言やメンバの報告内容などから,コスト超過につながると懸念される兆候を知識や経験に基づいて察知し,兆候の原因を分析して防止対策を立案・実施する,PMとしての実践的な能力を問う。

採点講評:兆候,懸念した根拠,兆候の原因と立案した防止対策について具体的に論述できているものが多かった。一方,兆候とは問題の起こる前触れや気配などのことであるが,PMとして対処が必要な既に発生している問題を兆候としている論述も見られた。また全体として,問題文の記述をまねたり一般論に終始したりする論述,誤字が多く分かりにくい論述,字数が少なく経験や考えを十分に表現できていない論述も目立った。

📝 論述の骨子例(参考・IPA非公式)

【想定シナリオ】中堅製造業向け生産管理システムの再構築プロジェクト(開発規模約120人月,請負)で,PMとして予算とコストベースラインを管理していた。

設問ア:短納期かつ要件が固まりきらない特徴を持つプロジェクトであること,活動別に積算した予算と予備費,コストベースラインに基づく期間別・活動別の実績比較でコストを管理していた概要を述べる。

設問イ:EVMの数値が悪化する前に,進捗会議で設計担当が「仕様確認の手戻りが増えている」と繰り返し発言した点を兆候として察知。懸念した根拠は,同種の過去案件で仕様の曖昧さが後工程の作り直しを招きコスト超過に至った経験。原因を要件定義の合意形成不足と分析し,顧客との仕様確定レビューの前倒しと確認プロセスの標準化という防止対策を立案したことを工夫として述べる。

設問ウ:対策により手戻り工数が想定内に収まりコストベースライン内で推移した実施状況を示し,早期の兆候察知が有効だったと評価。一方で兆候の判断が属人的だった点を課題とし,兆候を定量指標で共有する仕組みづくりを今後の改善点として述べる。

※論文式のためIPA公式の解答例はありません。上記は出題趣旨に沿って作成した骨子の一例で,正解ではありません。必ずご自身の実務経験に置き換えて論述してください。

午後II令和元年度実過去問

問2 助言や他のプロジェクトの知見などを活用した問題の迅速な解決について

設問ア(800字以内):携わったシステム開発プロジェクトの特徴,及びプロジェクト内の取組だけでは解決できなかった品質,納期,コストに影響し得る問題について述べる。

設問イ(800字以上1,600字以内):その問題に対し,解決に役立つ観点や手段を見いだすために,有識者や参考とするプロジェクトの特定,及び助言や知見などの分析をどのように行ったか。また,見いだした観点や手段をどのように活用して問題の迅速な解決に取り組んだかを具体的に述べる。

設問ウ(600字以上1,200字以内):設問イで述べた特定や分析,問題解決の取組について,それらの有効性の評価,及び今後の改善点について具体的に述べる。

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出題趣旨:PMには品質・納期・コストに影響し得る問題が発生した場合,迅速に解決してプロジェクトを計画どおりに進めることが求められる。プロジェクト内の取組だけでは解決できない場合に,問題の内容や背景の類似性から有識者や参考プロジェクトを特定し,助言や完了報告書などの知見に自らが考慮していなかった観点や手段が含まれないかを分析し,それらを活用して問題を迅速に解決する,PMとしての実践的な能力を問う。

採点講評:プロジェクト内の取組だけでは解決できそうにない問題が発生した場合の,有識者や参考とするプロジェクトの特定,助言や知見などの分析,問題の迅速な解決への取組について,具体的に論述できているものが多かった。一方,計画時にプロジェクト目標の達成を危うくしそうな問題を認識していたにもかかわらず,対処が不十分なままプロジェクトを開始してしまったというような,PMとしての判断が不適切と推察される論述も見られた。

📝 論述の骨子例(参考・IPA非公式)

【想定シナリオ】金融機関向け勘定系連携システムの構築プロジェクトで,性能試験において応答時間の目標を満たせず,チーム内の調査だけでは原因を特定できない問題が発生した。

設問ア:高い可用性と性能が要求されるミッションクリティカルな特徴を持つプロジェクトであること,及びプロジェクト内のチューニングでは応答時間の性能目標を達成できず納期に影響し得る問題を抱えていたことを述べる。

設問イ:類似のミドルウェア構成で性能課題を克服した他プロジェクトの完了報告書と,社内の性能設計の有識者を,問題の背景や状況の類似性から特定。助言と知見を分析した結果,チーム内では見落としていたコネクションプールとインデックス設計という観点を見いだし,これを反映した改善を実施して短期間で性能目標を達成したことを工夫として述べる。

設問ウ:外部知見の活用により迅速に解決できた点を有効と評価する一方,有識者への接触が遅れた点を課題とし,教訓やナレッジを早期に参照できる社内の知見共有の仕組みづくりを今後の改善点として述べる。

※論文式のためIPA公式の解答例はありません。上記は出題趣旨に沿って作成した骨子の一例で,正解ではありません。必ずご自身の実務経験に置き換えて論述してください。

午後I(記述)

午後I令和元年度実過去問

問1 次世代型コンタクトセンタサービスへの移行

通信販売事業者M社のコンタクトセンタを,個別開発システムから共通のクラウド型サービスへ移行するプロジェクトが題材。移行計画の立案や移行リハーサルによる検証,自動対応などの新機能導入時のリスクへの対応について,PMとしての実践的な判断を問う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。

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設問1:リスクを特定し,今後の対応を計画するため。

設問2(1) 検証すること=作業手順及び移行時間の見積りが適切であること/設定した目的=1回目の移行リハーサルで検出された不備の修正結果を確認するため。/(2) 全てのオペレータが担当業務の全てについて操作できること。

設問3(1) 検証作業が,オペレータの標準サービスの訓練に影響を与えないようにするため。/(2) スケジュールに関する対応策=自動対応機能の導入時期を遅らせる。品質に関する対応策=サービス開始時の自動回答率の目標値を見直す。

午後I令和元年度実過去問

問2 IoTを活用した工事管理システム構築プロジェクトの計画

建設会社G社が,ドローンとIoTを活用した工事管理システムを海外(X国)展開を視野に構築するプロジェクトが題材。100パーセントルールに基づくWBSの作成,PMO要員の選定,リスクマネジメント,及びIoT活用で求められる新たなPMの役割について,実践的な能力を問う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。

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設問1:プロジェクトの要素に抜けがないことを確認するため。

設問2(1) X国新工事の完了が納期に間に合わず損害賠償金を請求されること。/(2) 各要素の内容を理解して進捗状況を把握できる人材を選ぶ。

設問3(1) 画像データや稼働状況データを分析してレポートする機能。/(2) ドローンの要素技術はG社の競争力強化の源泉ではないから。/(3) X国でドローンの飛行に法的な制約があるかどうか。

設問4:多岐にわたる分野のステークホルダの統率や調整が必要になること。

午後I令和元年度実過去問

問3 プロジェクトの定量的なマネジメント

請負契約でのシステム開発プロジェクトを題材に,定量的な管理手法を取り入れたマネジメント標準の立案と導入を扱う。スケジュールと品質のどちらの改善を優先するかの判断,早期レビューの計画,SPIなど定量指標の設定について,PMとしての実践的な能力を問う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。

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設問1:品質改善を最小限にとどめる理由=品質重視の価値観が組織の強みとなっているから。スケジュール改善を優先する理由=進捗遅れの予防と,リカバリ策の具体化が優先課題だから。

設問2(1) 担当者自身に具体的な裏付けのあるリカバリ策を提案してもらう/遅延リカバリの進捗状況を定量的に報告してもらう。/(2) 初回のレビューの実施時期を,成果物作成の初期段階にあらかじめ計画すること。/(3) チームメンバが自ら改善策の検討を行うことで,実行の意欲が高まること。

設問3(1) レビュアのレビュー済ページ数/計画ページ数,担当者のレビュー指摘対応済ページ数/計画ページ数。/(2) 分析結果を共有し適切なリカバリ策を合意する場/課題をプロジェクトチーム全体で共有し調整を行う場。/(3) クリティカルパス上の活動群のSPI。

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