令和2年度 プロジェクトマネージャ試験 午後問題
午後II(論文)は、IPAが公式の解答例を公表していません。そこで当サイトでは、公表されている出題趣旨と採点講評を手がかりに、設問ア・イ・ウそれぞれで何を書くべきかを整理した論述の骨子例を独自に作成しました。想定シナリオ付きなので、自分の実務経験に置き換える際の型としてお使いください。午後I(記述)はIPA公式の解答例と、解答を導く着眼点を併記しています。
午後II(論文)
問1 未経験の技術やサービスを利用するシステム開発プロジェクト
設問ア(800字以内):あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴と目標、利用した未経験の技術又はサービスの概要、及びそれらを利用することにした背景について述べよ。
設問イ(800字以上1,600字以内):設問アの未経験の技術又はサービスを利用するに当たり、システム要件とプロジェクトへの要求事項の実現性を検証するために設けた検証フェーズについて、検証の計画と実施した内容を具体的に述べよ。
設問ウ(600字以上1,200字以内):設問イの検証フェーズで得た情報を、開発フェーズの計画の更新にどのように利用したか。また、その結果についての評価と今後の改善点について具体的に述べよ。
reveal
出題趣旨:未経験の技術やサービスを利用するシステム開発プロジェクトにおいて、検証フェーズを設けてシステム要件とプロジェクトへの要求事項の実現性を検証すること、及び検証フェーズで得た情報を開発フェーズの計画の更新に利用することについて、具体的な論述を期待した。
採点講評:経験に基づき具体的に論述できているものが多かった。一方で、一般的な技術的課題の解決の論述に終始するなど、未経験の技術やサービスの利用に伴う不確実性への対応が読み取れない論述も見受けられた。新しい技術に関する知識や、それらをプロジェクトで利用するためのスキルの習得に努めてほしい。
📝 論述の骨子例(参考・IPA非公式)
【想定シナリオ】損害保険会社の保険金支払査定システム刷新で、帳票の読取自動化のため初めてクラウドのAI-OCR&自然言語処理サービスを利用するプロジェクト。読取精度が査定品質と工期を左右する不確実要素であった。
設問ア:プロジェクトの特徴(査定の迅速化・省力化が目標、繁忙期前の稼働が必須)と、未経験のクラウドAI-OCRサービスの概要、及び自社に読取ノウハウがなく短期導入のため外部サービス採用に至った背景を述べる。
設問イ:本格開発の前に検証フェーズを設定。実帳票のサンプルで読取精度・処理性能・非定型様式への耐性を測定し、あらかじめ合否基準(精度○%以上)を定めて実現性を判定。工夫として代替サービスを並行評価し、精度不足時のカスタム前処理の要否も切り分けた。
設問ウ:検証で判明した精度限界と補正工数を踏まえ、開発スコープ・工数・体制・スケジュールを更新し、目視確認の業務フローを追加。結果として本番稼働後の手戻りを抑えられたことを評価し、検証項目の網羅性向上を今後の改善点とする。
※論文式のためIPA公式の解答例はありません。上記は出題趣旨に沿って作成した骨子の一例で、正解ではありません。必ずご自身の実務経験に置き換えて論述してください。
問2 システム開発プロジェクトにおけるリスクのマネジメント
設問ア(800字以内):あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴、及び外部のステークホルダに起因する、プロジェクトの目標の達成に影響を与えると計画時に特定したリスクについて述べよ。
設問イ(800字以上1,600字以内):設問アで述べたリスクについて、どのように評価し、どのようなリスク対応策を立案したか。リスクの評価方法と対応策について具体的に述べよ。
設問ウ(600字以上1,200字以内):設問イで述べたリスク対応策の実施状況及びリスクの監視をどのように行ったか。また、その結果についての評価と今後の改善点について具体的に述べよ。
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出題趣旨:システム開発プロジェクトにおけるリスクのマネジメントにおいて、外部のステークホルダに起因する、プロジェクトの目標の達成に影響を与えると計画時に特定した様々なリスクの評価方法、リスクへの対応策、リスクの監視方法について、具体的な論述を期待した。
採点講評:経験に基づき具体的に論述できているものが多かった。一方で、顕在化している問題やリスク源をリスクと称しているなど、リスクのマネジメントの知識や経験が乏しいと思われる論述も見受けられた。リスクのマネジメントはPMが身に付けるべき最重要の知識・スキルの一つであり、理解を深めてほしい。
📝 論述の骨子例(参考・IPA非公式)
【想定シナリオ】自治体の住民情報システム刷新プロジェクト。法改正の施行時期の不確定と、データ移行元を管理する既存ベンダの協力度合いという、外部ステークホルダに起因するリスクを計画時に特定した。
設問ア:プロジェクトの特徴(法定業務のため稼働期日が動かせず品質要求が高い)と、外部ステークホルダに起因して計画時に特定したリスク(法改正の最終仕様確定の遅延、既存ベンダの移行協力が得にくいこと)を述べる。
設問イ:各リスクを発生確率と影響度で評価し、優先度を設定。法改正リスクは所管省庁の情報収集と可変部分のパラメタ化で軽減、ベンダ起因リスクは契約と役割合意で移転・回避、影響大の残存リスクにはコンティンジェンシを確保する対応策を立案。工夫として評価根拠を明示した。
設問ウ:リスク登録簿とEVMで実施状況を定期監視し、トリガ指標で早期に予兆を検知して対応を発動。結果として期日遵守できたことを評価し、外部関係者を巻き込んだ監視サイクルの定着を今後の改善点とする。
※論文式のためIPA公式の解答例はありません。上記は出題趣旨に沿って作成した骨子の一例で、正解ではありません。必ずご自身の実務経験に置き換えて論述してください。
午後I(記述)
問1 DX推進におけるプロジェクトの立ち上げ
化学製品製造業のG社が生産プロセスDXによるコスト削減に取り組む事例。現業部門主導のDX検討チームの進捗遅れを受け、K課長が自動化プロジェクトのプロジェクト憲章の作成やチーム編成、進め方を提案する。プロジェクト立ち上げに向けた各提案の狙いを問う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。
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設問1(1) プロジェクトの承認を全社に伝え協力体制を確立するため/(2) 役員会で工場の生産プロセスDXを今期の最優先案件としたこと
設問2(1) 全社からプロジェクトへ参加できる体制とするため/(2) メンバが最適化の案を検討する時間を確保できるようにするため/(3) 来期からの横展開に必要な手順を習得してもらうため
設問3(1) ITとプロセス分析の専門家の支援で進捗の遅れを回復するため/(2) システムが異常の際は自分たちで迅速に対応できるようにするため
問2 システム開発プロジェクトにおけるプロジェクトチームの開発
ソフトウェア企業P社が、顧客E社のサービス提供価値を継続的かつ迅速に高めるためリリース間隔の短縮を求められる事例。PMに任命されたQ課長が、広義の生産性向上とチームの成長を目指し、行動の基本原則の合意や具体的活動を進める。チーム開発に関わる各施策の狙いを問う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。
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設問1(1) ア 時間を含めた投下資源/イ サービスの提供価値 (2) PMの考えに引きずられないメンバの真の考え
設問2(1) 提供価値を継続的に高めるという期待 (2) 〔合意した意図〕メンバ全員が納得した上で行動に移れるようにするため/〔明文化して共有した意図〕メンバ全員が自律的に行動するための基準とするため
設問3(1) 消費者/(2) ST間の稼働の不均衡/(3) a メンバのローテーション/(4) 自律的な判断と行動を尊重して、学びの機会を与える
問3 SaaSを利用した人材管理システム導入プロジェクト
中堅旅行会社R社が、離職率低下と人材戦略経営の実現に向けてA社のSaaSで人材管理システムを導入する事例。S課長が標準機能の活用による費用対効果向上、データ整備、デモやプロトタイプを用いた要件定義、チャットツールによる正確なコミュニケーションを計画する。計画作成上の各判断の狙いを問う。設問文の全文はIPA公式PDFを参照。
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設問1(1) 人材管理システムの稼働が来年4月から遅延するリスク/(2) 拡張、改善される標準機能を利用し続けるため/(3) 第2段階で経年情報を使ってキャリア形成の可視化を行うため
設問2(1) 人事評価業務の運用ができるかどうかを確認し、人材管理システムに対する利用者要求事項を提示する役割/(2) 利用者要求事項の大部分を標準機能で実現できる範囲に収める効果
設問3(1) 認識齟齬のまま進み手戻りが生じるリスク/(2) 討議結果の根拠となる意見の記載があるから